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アズールレーン

アズールレーン

2Dのメリットを最大限発揮し、強化するためにも、Live2Dはまさに正しい選択でした。
アズールレーン制作チーム(株式会社Manjuu)
アズールレーン制作チーム(株式会社Manjuu)

Manjuuはベンチャーのゲーム会社です。チームメンバーの多くはほぼゼロからのスタートでしたが手探りでここまで進んできました。
ベンチャーならではのトレーニングできる環境や、多くの困難をも自己成長の糧とできる環境の中で、試行錯誤を繰り返しながら一歩一歩着実にプロフェッショナルへの道を歩んでいます。

――まずは5周年おめでとうございます!早速ですが『アズールレーン』について簡単にご紹介いただけますか?

『アズールレーン』は艦船を美少女に擬人化したキャラクターたちの育成を楽しむことができる海戦シューティングRPGゲームです。プレイヤーは強力なキャラクターと装備を集め、本格的な育成要素と、豊富なコンテンツを楽しみながら全海域制覇を目指します。

ゲーム内に出てくる美しいキャラクタービジュアルは、プレイヤーの審美的要求を満足させるだけでなく、Live2Dによって緻密(ちみつ)さとキレのあるアニメーションを再現することでキャラクターと世界観をより魅力的なものに引き立てます。

配信されてから既に5年が経ちましたが、これまで何回も「海外で最も人気のある中国ゲームTOP10」に選ばれてきました。現在も国内外を問わず多くのプレイヤーから愛されています。

アズールレーン

――なぜプロジェクトでLive2Dを使おうと思ったのでしょうか?

きっかけは他の美少女スマホゲームでLive2Dの技術が使われているのを見て、Live2Dの持つ表現技術の素晴らしさがキャラクターの2D立ち絵をメインに使う『アズールレーン』プロジェクトのニーズにピッタリだと思ったからです。

Live2Dをさっそく試してみようと思ったものの、最初は本当に何も分からない、何の経験もないゼロからのスタートでした。

まず、ソフトウェアが使える実習生を集めて勉強し、その後海外から外注で仕事を受け、少しずつ制作経験を積み重ねて現在に至っているという状態です。

2Dのメリットを最大限発揮し、強化するために

――今から5年前となるとLive2Dクリエイターがまだまだ少ない時代だったので、相当な努力を重ねてこられたことがわかります。そんなLive2Dですが、実際にユーザーからの反響はいかがでしょうか?

『アズールレーン』プロジェクトの2D表現に対する要求はとても高いものです。2Dのメリットを最大限発揮し、強化するためにも、Live2Dはまさに正しい選択でした。

ニーズに押される形で『アズールレーン』のLive2Dも、プレイヤーの期待に応えるべく全力を尽くしてきた甲斐もあり、プレイヤーからの注目度、期待度も非常に高いものとなっています。

――そんなプレイヤーを夢中にさせる『アズールレーン』のLive2Dの表現の中で、こだわりのポイントはどういったところにあるのでしょうか?

プレイヤーが直感的に感じることができる”視線追従”です。実は一時期、アニメーションに注力していたこともあったのですが、視線追従を疎かにしてしまった結果、プレイヤーから指摘を受けたことがありました。

それで今は最終仕上げの際、視線追従の透視性に特に注意を払うようにしています。とは言っても、特別高い要求水準を課すということはありません。少なくとも致命的な欠陥を防ぐ目的で注意しています。

プロジェクトにおけるLive2Dは、やはりアニメーションがメインだと考えているので、そこに最も力を注ぎますし、もし時間がたっぷりあればインタラクションにも工夫を凝らすようにしています。

――確かに”視線追従”があるだけで「目の前のキャラクターとコミュニケーションを取っている」という感覚は強くなりますよね。そういったこだわりの表現を作っていく中で、技術としてのLive2Dに感じた利点はありますか?

他の2Dアニメーションソフトと比べてLive2Dはキーフレームアニメーションの試行錯誤にかかるコストが低く、精度の高い原画に対して、複数のアニメーションを簡単に作成できます。これは他のソフトウェアではなかなかできないことです。

複雑なアニメーション理論を理解していなくても、それらを作成することができるのはLive2Dの強みだと思います。

――Live2Dは原画の質感を維持したまま立体的に動かせることを最大の特徴としているので、その点を評価いただけるのは大変光栄です!一方で、Live2Dをプロジェクトで使っていく上で感じた課題点はありますか?

今のところ2つの課題を抱えています。1つはモデリングのハードルの高さで、もう1つは制作にかかる時間です。

Live2Dモデリングはまだまだハードルが高いと感じます。

その要因として、制作者側に”透視図法”の基礎的な能力が求められるという点が挙げられます。これがLive2Dに触れたばかりの新人さんが断念してしまう理由の1つですが、そのハードルさえ超えてしまえば、Live2Dのアニメーションはそれほど難しくありません。

それ故に、他の2Dアニメーションソフトと比較しても、総合的に見てLive2Dは非常に時間がかかる部類に入ると感じています。

――Live2Dは「イラストを見て理解する能力」が求められるので、そういった点は確かにハードルになっているかもしれませんね。制作効率を上げるために何か工夫されていることはあるのでしょうか?

モデリングテンプレートとアニメーションプリセットを作っています。いくつかの演出手法に関しては、既に多くのキャラクターに応用しているものもあります。

――キャラクター1人あたりのLive2D制作期間はどれくらいなのでしょうか?

基本は6週間と定めていますが、実際の状況を見て何週間か延長することもあります。

キャラクターのLive2D着せ替えに対するプレイヤーの満足度は、”制作工期”と”プレイヤーの審美性”に密接に関係しています。

Live2D着せ替えを昔のものと最近のものとで比較して見ると、明らかにアニメーション制作のレベルが上がっていることがわかります。そして何より原画デザイン(立ち絵)の難度も上がっていることがわかります。

制作期間も最初は3~4週間でしたが、現在は倍の6~8週間へと変化しています。

――アニメーション制作も込みとはいえ、6週間はなかなかのボリュームですね。ちなみに1番制作期間の長かったものでどれくらいですか?

「キーロフ」というキャラクターのLive2D着せ替えで、確か3ヶ月かかったと思います。

――3ヶ月!?

はい、3ヶ月です(笑)

期間が長くなった理由は単純で、原画のストックが不足して、アニメーションの続きが作れなくなってしまったからです。

その代わりと言ってはなんですが、キャラクターの原画は先に手元にあったので、期間が伸びたのに併せて制作時間を長く取れたためクオリティの高い作品として仕上げることができました。

かなり多くの複雑なインタラクションを実現できる

――「キーロフ」のLive2D着せ替えは私も拝見したことがあるのですが、確かに3ヶ月と言われても納得のクオリティです。しかしながら、基本の6週間という制作期間に対して、満足度を上げるために毎回期間を延長するというわけにも行かないですよね?そういった期間とインタラクションにかけるコストの感覚についてはどのようにお考えなのでしょうか?

例えば、プロジェクトがインタラクションによって他プロジェクトとの差別化を図る場合、その”インタラクションの品質”と”生産性の安定”を保証することはなかなか困難です。

仮に生産性の安定化を求めるなら、規格を制定する必要が出てきます。

しかし、規格を制定することは原画の表現自体に制限をかけてしまう場合もあるので、それはプロジェクトにおけるインタラクションの位置付けと、その中でのLive2Dの比重によって大きく変わってきます。

そもそもLive2Dは他の2Dソフトウェアと比べるとインタラクションの部分で、独自の道を切り開いていると言えます。プログラムと連携し、規範的にモデルを作成することによって、かなり多くの複雑なインタラクションを実現できるという点は、他の2Dソフトウェアではまだできないことです。

――「プロジェクトにおけるインタラクションの位置付けと、その中でのLive2Dの比重」というのは納得です。冒頭で”視線追従”のお話がありましたが、この辺りにも大きく関係していそうですね。この5年間でそういったインタラクションに対しての意識に大きな変化はありましたか?

この5年で『アズールレーン』プレイヤーの審美性がますます高まっているのを感じています。

そして我々は、そういったプレイヤーの期待に応えるため、原画チームの立ち絵制作レベルが飛躍的に上がりましたし、それに併せてLive2Dアニメーションも進化してきました。

今ではキャラクターの基本的な透視図法や、視線追従と物理演算のフィードバックの正確さには自信があります。

――プレイヤーの作品を見る力の成長と共に、制作陣のつくる力も成長しているんですね。そんなプレイヤーたちからは「俺の嫁のLive2D着せ替えを実装してくれ!」というアツい要望も多数届いているかと思いますが、実装されるキャラクターはどの様にして選定されているのでしょうか?

これには2つのケースがあります。

1つは人気が高いキャラクターほどLive2D着せ替えを出す確率も高いということ。仰る様に「着せ替え実装が待ち遠しくて仕方がない!」というプレイヤーはとても多いので、その要望に応えられるようにキャラクターの選定を行っています。

そしてもう1つのケースは、アップデートによって追加されたイチオシの新規キャラクターへの実装です。

登場したばかりの新キャラクターを1日でも早く”俺の嫁”にしていただきたいので、Live2D着せ替えを出すことによって人気や注目度を高めたいという目的があります。

――「推したい・推してほしい」という愛の結晶が着せ替えという形になっているのですね。Live2D制作はどの様な流れで行われているのでしょうか?

『アズールレーン』のLive2D制作はごく一部を外注していますが、主に自社内で行っています。自社内の方がコミュニケーションが取りやすく、何か問題にぶつかっても解決方法を相談し合うためのハードルが低いのでメリットに感じています。

Live2D制作において、1番最初に取り掛かるのは立ち絵の分析です。

『アズールレーン』の立ち絵のポーズはキャラクターの個性やシチュエーションによって毎回異なるので、”立ち絵の可動性”を考える必要があります。異なる部位、異なる構造によってモデリングの難易度も変わってきますし、制作時間と完成品のクオリティもそれぞれ異なります。制作の初期段階において、時間・難易度・クオリティのバランスを考えて、良い計画を立てることが重要です。

可動性の分析が完了したら、次に”ポーズの構想”を練ります。ポーズは立ち絵の可動域をよく考えて、可能なポーズをつけなければなりません。この作業は、一般的なキーフレームアニメーションと同様です。各動作のキーフレームを考えたら、後は単純に時間をかけてやっていくだけです。

モデリングでポーズを再現してから、アニメーションのキーにポーズのキーフレームを打ち、さらにトランジションを使って動作リズムを調整し、表情や細かな所作を加えたりしてやっと1つの動作が完成します。

この作業を繰り返して、いくつかの動作が出来上がるとLive2D着せ替えが完成します。

――「段取り八分」という言葉もありますが、最初に”良い計画を立てる”というのはどんな作業においても大切な工程ですよね。最後に、『アズールレーン』にとって”Live2D”とはどのような存在でしょうか?

『アズールレーン』は、キャラクターの2D立ち絵がメインのモバイルゲームです。特にキャラクター着せ替えはプレイヤーにとって魅力的なコンテンツになっているので、2D演出には特に力を入れています。

原画のニュアンスをそのままに、生き生きとしたアニメーション表現を可能にするLive2Dは、プレイヤーと我々のニーズに応えてくれる存在です。

――本日はありがとうございました!

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