2Dによる立体表現「Live2D」


ケーススタディ:バンダイナムコゲームス

(CGWORLDインタビュー記事)


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2Dグラフィックス表現の新たな可能性を開く



『サモンナイト5』

バンダイナムコゲームス


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開発チーム

左:深澤智和氏/プロデューサー、バンダイナムコゲームス
中央:吉田圭太郎氏/企画、ディレクション、フェリステラ
右:岩垣知恵氏/グラフィックデザイナー、フェリステラ 02

CGWORLD:
前作から6年の時を経て、シミュレーションRPG『サモンナイト』シリーズの新作が発売された。PSP対応の本作は、ゲーム画面をフル3DCGで開発する一方、イベント画面にはLive2D Cubism(以下、Live2D)を導入している。本作におけるLive2Dの導入理由や開発の舞台裏を紹介しよう。



2Dグラフィックス表現の新たな可能性を開くツール



飯塚武史氏が描く多彩なキャラクターたちは、『サモンナイト』シリーズの人気を支える大切な要素だ。Live2Dの導入によって、本作のイベント画面では飯塚氏のイラストの魅力を保ったまま、キャラクターに感情豊かな動きを付けることが可能となった。「飯塚さんのイラストがそのまま動くという評判を聞いて、発売前からユーザーの期待値は高まっていましたね」と、プロデューサーの深澤智和氏は語る。

Live2Dは、ラスター形式のキャラクター画像を複数のパーツに分割し、各パーツに平面ポリゴンを貼り付け、それらを2Dモデルとして再構築する。さらに、そのモデルを変形させることで任意のモーションを作成できる表現ツールだ。従来の3DCGによるキャラクター表現とは大きく異なるアプローチだが、一方で、2Dグラフィックスに慣れたアーティストやユーザーとの親和性は非常に高く、最近のゲーム開発では高い評価を得ている。

バンダイナムコゲームスでも、Live2Dを導入したゲームやアプリを数多く発売してきた。しかし、約50体のキャラクターをLive2Dで構築し、2体のキャラクターを1画面内で同時に描画することで会話シーンまで表現した本作の試みは、過去に類をみないものだという。ところが、開発を担当したフェリステラの吉田圭太郎氏は、当初予定ではLive2Dを活用する割合が今よりさらに多かったと語る。「PSPというハードの制約上、制作してみたものの、残念ながら搭載を諦めたデータもあります。将来的には、会話シーンだけに限らず、もっとダイナミックな表現でもLive2Dを使っていきたいですね」。今回の開発を通して、2D表現の新たな可能性を大いに感じたとふり返ってくれた。






Cubism Modelerイメージ画像1

Live2Dで構築されたキャラクターたち。これらを含め、約50体のキャラクターが表現された。







導入の決定打は、アニメーション表現における自由度の高さ



本作でのLive2Dの使用は、企画の初期段階から検討されていたと吉田氏は語る。「Live2Dを選択する決定打になったのが、アニメーション表現の自由度の高さでした。最初に決め手となる始点と終点のキーポーズを設定でき、その間の中割りも柔軟に調整できる。細部の動きにまでこだわりを反映できるツールだと感じました」。

こうしてLive2Dの導入を決定したフェリステラは、自社のマスコットキャラクターを使い、Live2Dによる試作を開始した。「2 週間くらいの試行錯誤で、キャラクターのセットアップからアニメーションまで、ひと通りの工程を理解できました。当社のアーティストは2Dグラフィックスでのキャラクター表現に慣れていたので、2Dキャラクターのパーツを動かすというLive2Dのやり方には抵抗感がありませんでした」とグラフィックデザイナーの岩垣知恵氏は語る。






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Cubism Modelerイメージ画像1

Topic1. キャラクターモデルのセットアップ

動くパーツを切り分けた後Live2D で再構築する:
Live2Dによる制作は、飯塚氏のイラストを切り分けることから始まった。「動くパーツは全部切り分ける必要があるので、細かいアニメーションを設定したいキャラクターほど時間がかかりました」と岩垣氏は語る。左側は切り分け後の画像で、これらをLive2Dで再構築すると右側の画像となる。PSPの解像度でもキャラクターの表情を鮮明に表示させるため、あえて前髪から顎までのパーツのみ、大きめのサイズで作っている。「全部のパーツを同じサイズにするよりも、ユーザーが最も注目する顔のパーツだけを大きくした方が、より印象的な仕上がりになると判断しました」と吉田氏はその理由について語ってくれた。

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細やかな動きにもこだわりクオリティアップを実現



この試作で手応えを感じた同社は、開発後期からLive2Dを担当するアーティストを3名に増やし、本格的な制作をスタートした。元々2Dグラフィックスの経験者が多かったこともあり、Live2Dでの開発はスムーズに進行したという。「ゲーム機でのデータ表示や組み込みといった技術面に関しては、Live2D開発元である株式会社Live2Dのサポートを受けました。けれどデータの制作自体は、自分たちだけで十分に対応できました」と岩垣氏は語る。キャラクターの重要度によって制作期間に多少のちがいはあったが、平均すると1体あたりセットアップに3日、アニメーションに1.5日を要したという。

Live2D導入によって細やかな動きにまでこだわれるようになったそうだ。「素材となるキャラクターのイラストが良質であるほど、Live2Dで作ったモデルの見映えは良くなります。美しい2DイラストとLive2Dの相乗効果で、クオリティアップを実現でき、キャラクターの魅力やゲームの面白さも高まったと感じています」と吉田氏は語る。キャラクター表現の新境地に挑戦した本作とLive2Dに、ぜひ注目してほしい。





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Cubism Modelerイメージ画像1

Topic2. アニメーションのセットアップ

キーポーズだけでなく臨機応変に中割りも調整する:
キャラクターの再構築が完了したら、動きを付けていく。ここでは、1枚目(左上)と4枚目(右下)のキーポーズを設定した後、中割りの設定を行なっている。自動補完だけでは違和感がある部分が多いので、細かくキーを打って調整したと岩垣氏は語る。「基本的には飯塚さんのイラストをキーポーズにしていますが、完全に合わせてしまうと動きを付けた際に違和感が生じる場合もありました。そんなときは自然に見えることを重視して、実際のイラストよりも移動幅を小さくするといった判断をしました」。

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Cubism Modelerイメージ画像1

プロジェクトサマリー


パブリッシャー:バンダイナムコゲームス
タイトル:サモンナイト5
ジャンル:シミュレーションRPG
プラットフォーム:PlayStation Portable
リリース日:2013.5.16
Web: http://www.summonnight.net/sn5/